「あついなぁ~。ちょっと出雲ちゃん、顔洗いにトイレ行って来てええー?」
遊園地でのゴースト探しの任務、志摩は手団扇で顔をあおぎながら言った。
「いちいち許可なんてとらなくていいわよ」
さっさと行きなさいよ、とあたしはうんざりして返す。なんでこんなやつと組になってしまったのか。
さっきから、まずはメル友からはじめよう、などとアドレス交換を要求するばかりである。当のゴーストが見つかる気配もなく、あたしは辟易していた。
「ほな。待ってて~」
志摩はだらりと歩き出す。その姿が見えなくなると、あたしはてのひらをかざして、雲ひとつない青空を仰いだ。
確かに暑い。喉もすっかり渇いてしまった。
「………」



「……いつまでやってんのかしら」
日差しも弱まらず、志摩もどこであぶらを売っているのか、一向に現れない。
あたしは自分の横に置いたそれを見る。
「…ふん」
じっと、腕と足を組んで、前を睨む。

その時、後ろの垣根でがさっと音がした。